東京ビエンナーレ2023 開催概要

東京ビエンナーレとは、東京のまちを舞台に2年に1度開催する国際芸術祭。東京のまちに国内外から幅広いジャンルの作家やクリエイターが集結し、まちに深く入り込み、地域住民の方々と一緒に作り上げていく新しいタイプの芸術祭です。

名称 東京の地場に発する国際芸術祭 東京ビエンナーレ2023
テーマ リンケージ つながりをつくる
会期 夏会期 2023年7〜9月(プロセス公開)
秋会期 2023年9月23日(土)〜11月5日(日)(成果展示)
会場 東京都心北東エリア(千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがるエリア) 歴史的建築物、公共空間、学校、店舗屋上、遊休化した建物等(屋内外問わず)(2023年3月24日時点)
主催 ⼀般社団法⼈東京ビエンナーレ
助成 令和5年度日本博2.0事業(補助型)(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)

   





東京ビエンナーレがめざすもの

アート × コミュニティ × 産業
「私たちの文化」を「私たちの場所」で「私たちの手で創る」

東京ビエンナーレが目指す活動は、様々な「私」が出会い、「私たち」で共有する事象です。この地域に昔から暮らす住民と、日本各地、世界各地から集まってきた新しい人々。様々な人々が暮らし、働き、遊ぶ国際都市東京で、アートは多様な出自をもつ人々をつなぎ、このまちの歴史を顕在化し、未来を描き出すことで、「私たち」を出現させ、また新たな「私」を発見します。「アート×コミュニティ×産業」をキーワードに、地域の人々とともに、「HISTORY & FUTURE」「EDUCATION」「WELL-BEING」「RESILIENCY」を活動コンセプトとして、私たちの文化を、私たちの場所でつくっていくこと。東京ビエンナーレは「私たち」がつくる新しい都市と文化の祝祭となります。

歴史と未来|HISTORY & FUTURE
私たちが暮らす土地の記憶を知ることなく未来の可能性を語ることはできません。江戸の歴史と文化の記憶を呼び起こし、そこから現在の課題をあぶりだし、そして未来の可能性を考える。隠された歴史の記憶から未来を可視化します。

教育|EDUCATION
東京ビエンナーレは専門性に分断された教育を融合するSTEAM(科学技術、藝術、数学)を実践する触媒となるでしょう。事業を通して、多様な専門性をもった学生が協働し、地域の人々と触れ合い、活動することで、課題解決力のある人材育成に貢献します。

幸福感|WELL-BEING
WELL-BEINGとは、個人においては身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味し、社会においては政治的、経済的、文化的、環境的に持続可能な状態です。東京ビエンナーレを通して、「私の」、そして「私たちの」WELL-BEINGを考えます。

回復力|RESILIENCY
「火事と喧嘩は江戸の華」の華と謳われたのは、防災コミュニティのコアであった町火消のこと。江戸の「防災」は地域コミュニティに深く関わっています。東京ビエンナーレを通して地域のつながりを復元し、災害時に対応・復元力のある社会を目指します。





東京ビエンナーレ2023テーマ

リンケージ つながりをつくる

1993年、銀座でゲリラ的にアートプロジェクトを行った時のことである。私は、8丁目の裏路地の路肩に、無垢の鉄の彫刻をそっとおいた。高さ50㎝くらいでとても一人で持ち上げることは難しい重さである。路肩空間の寛容性を読み解き狙いを定め設置した。しかし、いざ置いてみると、移動・撤去されることに対して不安になり、作品を標識のポールに鎖でつないだ。何気ない路肩がかなりの緊張感ある場に変容した。極めてプライベートなものをパブリックな空間に置くことで、その両者の関係を探りたかった。
今だから思えることだが、個人的行為がパブリックな空間でしっかりと受け入れられるためには、多くのつながりをつくらなくてはならない。歩道管理行政の許可、近隣のビル管理者、商店街、町会などの意向確認、災害時などの安全管理対策、設置対策予算の捻出、土地の歴史性や認知度等、多くの関係機関との交渉や配慮をしなくてはならない。これらの関係を気にせずに、一人でゲリラ的に置くこともできるが、もし街の多くの関係性を調整しつながりをつくれば、法規的にも問題ないように設置することができる。当時は後者の関係が全く見えていなかったからか、かえって大胆な行動ができたのかもしれない。

————The Ginbrart展をめぐる西原珉との対話より、中村政人の発言(2022年)


ひとつの作品をめぐって起きたささやかな緊張が、街という公共の場所で新たな価値観になるということは、目先のつながりだけではなく、その街の全体的な関係性を見いだし、それらとつながり、変えていくことを意味します。街に現れた「個」の存在が、それまでとは異なる見え方や出来事としてとらえられていく——さらに、見えにくいつながりをたぐり寄せるように紐解き新しい関係をつくっていくことは、「個」のあり方を変え、社会的に確かなものとして信頼を得ることになるでしょう。

2回目となる東京ビエンナーレ2023は、「リンケージ つながりをつくる」がテーマです。リンケージとは、人間関係だけではなく、場所、時間、人、生物、植物、できごと、モノ、情報などあらゆる存在が複雑に関係しながら、刻々と変容していく世界に生きているからこそ見いだされていく「関係性=つながり」です。
現在のアートの社会的役割のひとつは、コロナ禍における社会環境の変化に対して自由な視点で関係性を持てることにあるのではないか。東京ビエンナーレ2023は、そんなアートの「つながる力」への信頼に基づいて、アーティストと、企業と、地域と、参加者、来場者がそれぞれを取り巻く「リンケージ(つながり)」に気づき、それらに加わる新しいつながりをつくり出す場となっていきます。
そして、アートを通じて連環するリンケージが、江戸東京の基層文化と地場の形成プロセスに光をあて、東京ビエンナーレが次の100年後まで続くつながりをつくる活動の礎になることを目指します。

総合ディレクター
中村政人
西原 珉

総合ディレクター プロフィール

  • 中村政人(なかむら・まさと)

    アーティスト。東京藝術大学絵画科教授。3331 Arts Chiyoda 統括ディレクター。東京ビエンナーレ2020/2021総合ディレクター。アートを介してコミュニティと産業を繋げ、文化や社会を更新する都市創造のしくみをつくる社会派アーティスト。第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本代表。平成22年度芸術選奨受賞。2018年日本建築学会文化賞受賞。1997年よりアート活動集団「コマンドN」を主宰。全国で地域再生型アートプロジェクトを展開。東京ビエンナーレ2020/2021では小池一子(クリエイティブディレクター)と共に総合ディレクターを務めた。

  • 西原 珉(にしはら・みん)

    キュレ—ション、心理療法士。90年代の現代美術シーンで活動後、渡米。ロサンゼルスでソーシャルワーカー兼臨床心理療法士として働く。心理療法を行うほか、シニア施設、DVシェルターなどでアートプロジェクトを実施。2018年日本に戻ってアートとレジリエンスに関わる活動を試行中。現在、秋田公立美術大学教授。米国カリフォルニア州臨床心理療法士免許。東京ビエンナーレ2020/2021では参加作家として「トナリプロジェクト」を推進し、東京ビエンナーレ2023においても継続した活動を展開する。




実施体制

総合ディレクター 中村政⼈、⻄原 珉
プロジェクトプロデューサー 中⻄ 忍
プロジェクトディレクター 岩間 賢、⼩池⼀⼦
クリエイティブディレクター 佐藤直樹
コミュニケーションディレクター 並河 進
PR ディレクター 若林直⼦
メディアリエゾン 今⽥素⼦
WEB ディレクター 並河進、根⼦敬⽣
エディトリアルディレクター 内⽥伸⼀
アートディレクター 尾﨑友則
国際渉外担当 ダニエル・バブレク
事務局⻑ 宍⼾遊美
プロジェクトマネージャー 森⽥裕⼦
コーディネーター 川上智⼦、石河美和子、岩本室佳、吉岡周流、岸本麻衣
WEBサイト制作(GYOKU inc.) 久田友太(ディレクター)、崎原 優(ディレクター)、森田光則(デザイナー)、喜久里千江(フロントエンドエンジニア)、仲吉和重(フロントエンドエンジニア)

※2023年5⽉19⽇現在