開催概要
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助成
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総合プロデューサーからの
メッセージ
ミッションは、東京にダイブし、街と深く関わること
東京ビエンナーレは、東京という都市のさまざまなエリアに「飛び込む」ことで、そこに集い、暮らす人びとの営みや風土の中に息づく魅力、新たな価値を発見し、ともに創り上げていく「ソーシャルダイブ(social dive)型」の国際芸術祭です。
今回のテーマ「いっしょに散歩しませんか?」は、「誰と」「どこを」歩くかによって私たちのつながり方が変わることに着目し、私たちをやわらかく、優しく結びつける新しいかたちの「散歩」を創造する試みです。その未知なる散歩を通して、人と人、人と都市の出会いが生まれる「ソーシャルダイブ」としての表現を探求します。
対立が深まる世界情勢の中でも、たとえ初対面であっても、誰かと並んで歩くという身体的な行為が、互いを知り合うきっかけとなり、街や文化への関心を芽生えさせ、対話の種となっていく。そして、関東大震災や第二次世界大戦により二度にわたって焼け野原となったこの都市・東京が、今なお多様な街並みと人々の暮らしを育んでいることに対し、「ともに歩ける」こと自体の奇跡的な時間を大切にしたいと考えています。特に、江戸から続く都市生活の知恵や信仰、自治、芸能、町人文化といった「基層文化」の存在を、私たちは忘れてはなりません。それらは目立たぬかたちで今も街のあちこちに息づいており、現代において新たな創造の土壌となりうる重要な文化資源です。東京ビエンナーレ2025では、こうした見えにくい東京の基層文化を丁寧にすくい上げ、アートプロジェクトを通して未来につないでいく試みに挑戦します。
そのためにも、アーティストの想像力と方法論によって、東京の街角をあえて漂流し、積極的に「道草」するような表現のあり方を模索します。新たな関係性を紡ぐ「散歩」するアートプロジェクトが、街と人をやわらかくつなぎます。たとえば、創建400年を迎える東叡山 寛永寺でのインスタレーション作品や、街のスキマにひっそりと置かれた作品群に会いに行くとき、その道すがら出会う風景や人々との何気ない交流にこそ、今ここでしか味わえない発見があります。気になるものに出会ったときは、ぜひ立ち止まって、少し時間をかけて眺めてみてください。そこには、思いがけなく心がひらく瞬間が潜んでいるかもしれません。
東京ビエンナーレ2025は、14か所におよぶ展示会場、37名の参加アーティストによる作品、たくさんの散歩プログラムを通して、東京にダイブし、まちと深く関わるアートプロジェクトを生み出します。
総合プロデューサー 中村政人
東京ビエンナーレ2025テーマ
いっしょに散歩しませんか?
移動と精神の自由、日常と非日常の往復、歴史の横断――散歩は古来、人間にさまざまな恩恵をもたらしてきました。制約の多い空間と時間に暮らす現代の都市生活者にとって、「歩くこと」の価値はいっそう高まっています。
ここで美術の近い歴史を見てみると、1960年代以降、アーティストたちは自らの身体をメディウムとし、世界を読み替える歩行の実践を広げてきました。ヨーコ・オノ、ブルース・ナウマン、ヴィト・アコンチが相次いで“歩行”を作品化したのを皮切りに、ハミッシュ・フルトンは現在に至るまで〈Walks〉シリーズを継続。河原温が日々の移動を地図上に赤線で刻んだ《I Went》、リチャード・ロングのランドアート、中国の万里の長城をひたすら歩いたマリーナ・アブラモヴィッチ、都市を聴覚的に再構成するジャネット・カーディフ、フランシス・アリスの数々のプロジェクト──歩行は多彩な表現へと展開してきました。世界各地を歩くアーティスト、ガブリエル・オロスコは都市を「スタジオ」と呼び、街での偶発的な発見の瞬間こそが作品であると説きます。
東京ビエンナーレ2025は、これらのアーティストたちに倣い、散歩=創造行為、都市=表現の場と捉え、作品展示やプロジェクトを通じて「遊ぶ・彷徨う・道草する・出会う・思索する・発見する」アートスタジオとしての東京へ人々を誘います。参加アーティストそれぞれによる街での創造行為を鑑賞する一方で、観客自身が創造者へと転じる契機を得ることができるでしょう。
本芸術祭は、東京という巨大なテクストを背景に、歩行という最小単位の行為から都市の潜在資源を再発見・共有する回路を構築する試みです。誰もが都市を「歩きながら創造する」主体となり、歩行の思考を通じて新たな公共の地平をひらく――それが東京ビエンナーレ2025のヴィジョンです。
キュレトリアルメンバー 西原珉
実施体制
総合プロデューサー
中村政人(なかむら・まさと)
キュレトリアルメンバー
並河 進(なみかわ・すすむ)
服部浩之(はっとり・ひろゆき)
西原 珉(にしはら・みん)
事業プロデューサー
中西忍(なかにし しのぶ)