東京をリノベーションして
本当の公共空間をつくる
嶋田洋平
らいおん建築事務所代表取締役
2008年、らいおん建築事務所を設立。全国各地で縮退エリアにおけるリノベーションまちづくりによる再生事業を手がける。北九州市小倉魚町のリノベーションまちづくりの取り組みの実績により「国土交通大臣賞」「日本建築学会賞教育賞」を受賞。日経アーキテクチュア「アーキテクト・オブ・ザ・イヤー 2017」第2位に選定。2008年、らいおん建築事務所を設立。全国各地で縮退エリアにおけるリノベーションまちづくりによる再生事業を手がける。北九州市小倉魚町のリノベーションまちづくりの取り組みの実績により「国土交通大臣賞」「日本建築学会賞教育賞」を受賞。日経アーキテクチュア「アーキテクト・オブ・ザ・イヤー 2017」第2位に選定。
首都高速道路に直結し、
銀座を取り囲む路線「東京高速道路(KK線)」を歩行者天国にする
1964年の東京オリンピックをきっかけにつくられた、東京の現代的な都市での暮らし。どれもハードとしては素晴らしい都市生活のインフラを手に入れたが、それらを私たちは上手く使いこなせているだろうか? 1964年の遺産を使いこなすべく、首都高速に直結する“KK線(東京高速道路)”を銀座の歩行者天国の延長として、都民のために公園化する。
一本の旗
こどもたちよ、きみたちにあやまりたい
街からきみたちの遊び場をなくしてしまったことを、あやまりたい。
川をなくし、高速道路をつくったことを、あやまりたい。
薬まみれの野菜が食卓に並ぶことを、あやまりたい。
馬鹿騒ぎできる場所をなくしてしまったことを、あやまりたい。
ひとりでごはんを食べさせていることを、あやまりたい。
夜空の星が見えないくらい街を明るくしてしまったことを、あやまりたい。
車がないと何もできない街をつくったことを、あやまりたい。
維持にお金のかかる街や建物をつくったことを、あやまりたい。
いままでなかった類の孤独を感じさせていることを、あやまりたい。
木や草やたくさんの生き物たちをなくしてしまったことを、あやまりたい。
試験の点数だけできみたちの価値を計ったことを、あやまりたい。
手軽に人の心を傷つける道具を発明したことを、あやまりたい。
知らない人と関わらないよう強制したことを、あやまりたい。
冒険したくなる宝島をこの星からなくしてしまったことを、あやまりたい。
ほんとうにほしいもの以外のたくさんのものをつくったことを、あやまりたい。
すべてを時間で区切ることを、あやまりたい。
一部の裕福な人のためだけのルールをつくったことを、あやまりたい。
一生泳げない海や入れない森をつくってしまったことを、あやまりたい。
戦争をなくせなかったことを、あやまりたい。
大人になるのが楽しみな時代をつくれなかったことを、あやまりたい。でも、これだけは伝えたい
街をつくるのもつかうのもすべてぼくたちだ。
もう一度奪還しよう。まずは東京のあの場所から。
いずれ立ち上がるきみたちの目印となるように、ぼくたちはちいさな一本の旗を立てておく。
RENOVATION ARCHITECT TEAM
三浦丈典(スターパイロッツ)
1974年東京都生まれ。大小さまざまな設計にとどまらず、シェアオフィスや撮影スタジオも運営する。「道の駅 FARMUS木島平」(2015年)でグッドデザイン金賞受賞。2016年稲門建築会特別功労賞受賞。著書に「起こらなかった世界についての物語」「こっそりこっそりまちをかえよう。」など。
中村真広(ツクルバ)
1984年生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、ミュージアムデザイン事務所、環境系NPOを経て、2011年、場の発明カンパニー「株式会社ツクルバ」を共同創業。デザイン・ビジネス・テクノロジーを掛け合わせた場のデザインを行う。昭和女子大学非常勤講師。
加藤渓一(HandiHouse project)
1983年東京都八王子市生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)大学院修了後、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO所属。2011年、HandiHouse project始動。2015年、第1回「これからの建築士賞」受賞(東京建築士会主催)。2018年、東京都市大学非常勤講師。
瀬川 翠(Studio Tokyo West)
1989年東京都生まれ。日本女子大学住居学科卒業。横浜国立大学大学院 Y-GSA修了。吉祥寺〜西荻窪エリアで2棟のシェアハウスを核とした多拠点近接ネットワーク型のシェアリングコミュニティ「アンモナイツ」を運営。現在は全国のエリアマネジメントに携わる。獨協大学経済学部非常勤講師。