EXHIBITIONS
参考図版:《星翳-初層・キューブ》2025年、オニキス、アラバスター、11.3×7.5×15.5 cm、13.5×18.0×34.0 cm
森淳一は彫刻、セラミックや写真、油彩などにより、光と影が繊細に交錯するような緊張感あふれる作品を生み出します。これまで、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた水流や毛髪などの素描を元に大理石や柘植(つげ)の木で制作した彫刻シリーズや、故郷の長崎の原爆をテーマとする作品などを制作してきました。
今回は東叡山 寛永寺の渋沢家霊堂前庭にて、森が2025年春に開始した彫刻シリーズ〈星翳〉の最新作を発表します。シリーズの発端は、アルベルト・ジャコメッティの多面体の彫刻《キューブ》(1933–34)と、デッサン《月を思わせるもの》(1933頃) だといいます。森は《キューブ》の形態の意味を読み取ろうといくつかの多面体を制作しました。手がかりを得られぬまま手を加え続ける過程で、不意に現れたのが《星翳・初層・キューブ》(上写真)です。
作家によれば、ここでいう「星」とはジャコメティが《月を思わせるもの》で描いた、暗闇に浮かぶ仮面のような存在に近いものだとされます。今回は、星にまつわる森自身の体験をもとに新たに7点を制作。「それぞれの像を結び付ける何か(星座のような)が現れること」を期待しながら生み出された作品です。
特別協力:東叡山 寛永寺
協力:東京藝術大学
1965年長崎県生まれ。1996年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた水の流れや髪の毛などの素描を元に、大理石や柘植(ルビ:つげ)の木を用いて制作した一連のシリーズや、故郷の長崎で起きた原爆をテーマとする作品などを制作。彫刻だけでなくセラミックや写真、油彩など、表現方法は多岐にわたる。近年の主な展覧会に、2025年「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」(長崎県美術館)など。
上野・御徒町エリア
東叡山 寛永寺 渋沢家霊堂前庭