EXHIBITIONS
参考図版:《種子のかたち「小文間の植物シリーズ」》2015年
藤原信幸は「いきもの」のかたちに魅力を探り、これらをモチーフとして繊細かつダイナミックなガラス造形作品を生み出します。彼のガラスへの関心は、光がもつ環境に与える力を感じとり、光がつくる空間の可能性を追求することにつながっています。その長いキャリアを通じて、彼はガラス表現の可能性をめぐる探求と葛藤を繰り返しながら、これらを象徴的な「かたち」に変換しようと試みています。
今回はその実践から生まれた作品群が、寛永寺の空間と呼応するように展示されます。2009年頃から制作を始めた〈小文間の植物シリーズ〉は、自身の工房がある茨城県取手市、利根川流域の小文間(おもんま)に自生する植物の生命力に触発された作品群です。自然の中にある生命サイクルを身近に感じながら、植物の断片的なイメージを独自に組み合わせて再構築したものです。これらが創建400年を迎える寛永寺で再構成され、新たな空間イメージを創出します。
特別協力:東叡山 寛永寺
協 力:東京藝術大学
マップ
1958年生まれ。1984年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、アメリカのピルチャック・ガラス・スクールに参加。翌年から岩田硝子工芸株式会社に入社し、2001年まで務める。2015年から2025年3月まで、東京藝術大学美術学部教授。現在、日本ガラス工芸協会理事、日本ガラス工芸学会監事。
1985年の初個展以降、多数の展覧会を開催。公募展などにも出品する。主な受賞歴は、「第4回KOGANEZAKI・器のかたち・現代ガラス展」奨励賞(黄金崎クリスタルパークミュージアム、2008年)、「国際ガラス展・金沢2010」奨励賞(金沢・石川県能登島ガラス美術館、2010年)、「日本のガラス展」藤田喬平賞(2008年、2012年)、観客賞(2008年)など。