EXHIBITIONS
《Inside Dementia》2025年、2チャンネル・フルHDビデオ(13分、ループ)、縦型43インチディスプレイ2台、車椅子・介護椅子、スマートフォン 展示写真:作家提供
窪田望は経営者、AI 開発者、発明家、YouTuber、美術家など多領域で活動しています。美術家としては、AIのバイアス(偏向)やバグ、またインターネットにおける適切さ/不適切さの基準とそれが排除する存在の問題などに切り込み、本質的な未来のあり方を問いかける作品を手がけてきました。
今回は、窪田が幼いころ祖母と過ごした記憶を起点に制作されたインスタレーションで参加します。彼は祖母とこたつでみかんを食べながら、テレビで『笑点』を見る時間が好きだったといいます。本作はそうした親密な記憶も胸に、認知症と共に生きる方々へのインタビューを通して制作されました。
作品は主に2つの要素から構成されます。ひとつは「せきこさん」のインタビュー映像と、彼女の思い出の写真などが並ぶインスタレーション(上写真)。もうひとつは「ふみさん」へのインタビューを鑑賞者がスマホの音声で追体験しながら、本芸術祭の近隣別会場(海老原商店)への道を歩く体験です。後者ではAI技術により、質問する側の声はまるで体験者本人が発するもののように聴こえてきます。


窪田は本作で、編集された記録を単に観る・聴くのではなく、相手の息遣いが感じられるような体験を目指しました。また、対話は和やかに進むなかでときに「ズレ」を感じる場面もありますが、作家はそこに欠落や断絶のみでなく、未体験の知性を感じるような瞬間もあったと言います。一方で、AIが生成した声は自分そっくりでありながら「他者の言葉」を語り、その声のデータは体験終了後に消去されます。本作はドキュメンタリーの形式を拡張しつつ、記録と記録、消去と一回性、そしてコミュニケーションとケアをめぐる倫理などについて私たちに問いかけます。
*インタビューは当人およびそのご家族と、介護施設のご協力のもと行われました。
*スマホとイヤホンで体験する内容があり、ご希望の方はこれらをご持参ください(イヤホンは貸出も行っています)。
特別協力:株式会社エトワール海渡
マップ
JR総武線「馬喰町駅」4番出口より徒歩2分
都営新宿線「馬喰横山駅」A1出口より徒歩6分
経営者、AI 開発者、発明家、YouTuber、美術家と ジャンルを横断しながら、表現を行う。AI の特許を日本・アメリカ・中国・香港で 20個発明。AIのバイアス、バグ、NSFWなどの内部構造に切り込みながら、本質的な未来のあり方についての問いを立てる。
日本橋・馬喰町エリア
エトワール海渡リビング館