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展示

チュオン・クエ・チー/グエン・フォン・リン:BREATHE

EXHIBITIONS

チュオン・クエ・チー/グエン・フォン・リン:BREATHE

開催期間中
種別

インスタレーション

会場

日本橋・馬喰町エリア

エトワール海渡リビング館

千代田区東神田1-15-15

日程

2025年10月17日(金) - 12月14日(日)

11:30–18:00(金のみ19:00まで)
月火休
*11月3日(月・祝)と24日(月・振替休日)は開場

参考図版:《Sourceless Waters: White. Shadows》2024年
アジアン・アート・ビエンナーレ2024(国立台湾美術館) Image courtesy of the artists

ハノイを拠点とするチュオン・クエ・チーとグエン・フォン・リンは、2021年から共同制作を始めました。チュオンは日常の風景や素材に宿るリズム、比率、空間性を繊細に読みとく作品を展開し、グエンは映像や彫刻、インスタレーションを通して時間、身体、記憶の層を探ります。

 

《BREATHE》は彼女たちの新たなインスタレーション作品です。互いに結びつく2つの作品が呼応し合い、素材間の対話や身体的探究を展開します。本作は生き物のように立ち現れます。赤いスポンジ状の小片で表面を覆った布が波打つように舞い、籐の木の幹が踊るように回ります。自転車のサドルがひとりでに跳ね、送風管が金属棒を叩き、子ども時代の写真を映し出す鏡はメリーゴーランドのように回ります。女神の木像の頭部が床の丸鏡に横たわり、そしてそこには、二人それぞれの父親の古いコートがあります。

 

その空間は、自律的に循環する機械的な身体となります。表面と線。皮膚、肉、血管、髪のような何か。心臓と肺のリズム。血と空気。骨と筋肉。それぞれの彫刻的要素は、独自の呼吸パターンをもつ空間で瞑想するかのような、集合的な振り付けを構成します。そうして本作は記憶の残響を抱えつつ、静と動、優しさと暴力、変容と反復、圧縮と解放のあいだで相互作用を生み出していきます。

 

助成:国際交流基金
特別協力:株式会社エトワール海渡
テクニカルチーム:グエン・ニュー・バック、グエン・タン・ロン、レー・クアン・ミン、Studio Articulate
Special Thanks:Hop書店, Đỗ Thanh Lãng, Ba-bau AIR

アーティスト

マップ

JR総武線「馬喰町駅」4番出口より徒歩2分
都営新宿線「馬喰横山駅」A1出口より徒歩6分

  • エトワール海渡 商品部ビルとは別建物です。ご注意ください。

関連イベント

  • シンポジウム

シンポジウム「新しいアートの国際協働に向けて:トランス・ビエンナーレの試み」

グローバル化や情報テクノロジーの変容、そしてアーティストの実践活動の変化によって、国際芸術展のあり方が大きく変わりつつあります。 展覧会や芸術祭は、もはや時間や空間によって区切られたものではなく、時空を超えてシームレスにつながりつつあります。アーティストやキュレーションの協働の実践は、会期中だけではなく、会期が終わった後も会場の外で継続的に続くようになってきています。 今回のシンポジウムは、こうした状況の中で、アーティストやコレクティブ、展覧会や芸術祭の新しいコラボレーションのあり方を議論します。   登壇者 チェ・ビンナ(ヴェネチア・ビエンナーレ2026韓国館キュレーター/ハワイ・トリエンナーレ2025キュレーター) マリーア・スヴォンニ(ルレオ・ビエンナーレ芸術監督、ヴェルデ芸術監督) メチュ・ラペラ(キュレーター、テントハウス・アートコレクティブ ) チュオン・クエ・チー & グエン・フォン・リン(アーティスト、ニャ・サン・コレクティブ) 中村政人(アーティスト、東京ビエンナーレ2025総合プロデューサー) 毛利嘉孝 (社会学者、東京藝術大学)   登壇者プロフィール   チェ・ビナ 韓国出身のキュレーター。脱植民地主義や先住民の実践、制度的変革を軸に、アートとコモンズを結ぶ活動を展開する。オランダのユトレヒトでCasco Art Instituteを率い、『Grand Domestic Revolution』『Site for Unlearning』『Travelling Farm Museum』などのプロジェクトを企画、You Miと共に文化横断的プロジェクト「Unmapping Eurasia」を運営。2025年ハワイ・トリエンナーレ、2022年シンガポール・ビエンナーレ、2016年光州ビエンナーレに参画。2026年にはヴェネチア・ビエンナーレ韓国館をキュレーションする。   マリーア・スヴォンニ スウェーデン北部、サーミ文化圏のギロンを拠点に活動するキュレーター。彼女の実践は協働を基盤とし、サイトスペシフィックな手法を通じて対話を促し、長期的な変革を目指している。現在は、スカンジナビア最古の芸術ビエンナーレであるルレオ・ビエンナーレの芸術監督および、サーミの視点を取り入れた遊牧型芸術機関「ヴェルデ」の創設者兼芸術監督を務める。2029年にギロンが欧州文化首都に選定された際の応募書類において芸術プログラムを策定したチームの一員であり、2018年にはスウェーデン最北部では初めて現代美術に焦点を当てた美術館「キーン(KiN)」の設立も主導した。   メチュ・ラペラ ノルウェーのオスロを拠点に、文化の違いを超えた芸術的な協働の促進を目指す、テントハウス・アートコレクティブの共同ディレクター。オスロ大学で美術史の修士号を取得し、美術史家、プロデューサー、キュレーターとして活動している。空間デザインの実践にも取り組んでおり、現在はオスロで公共空間におけるアートプロジェクト「KORO」のキュレーションを行う。   チュオン・クエ・チー & グエン・フォン・リン チュオン・クエ・チー(1987年生)とグエン・フオン・リン(1985年生)は、互いに友情と協働を重ねてきたベトナム出身のアーティスト。チュオンは日常に潜む矛盾や記憶を映像やインスタレーションで照射し、グエンは身体の痕跡や持続性を詩的に探求する。2021年より協働制作を開始し、身体的感覚を介して空間に緊張をもたらす。女性の身体性や世代を超える記憶に関心を寄せ、釜山ビエンナーレ2024、アジアン・アート・ビエンナーレ2024などで発表。ハノイの「Nhà Sàn Collective」のメンバーとしても活動している。   中村政人 1963年秋田県大館市生まれ。1990年代より都市や地域を舞台に数々のアートプロジェクトを展開し、1997年に「コマンドN」を設立。第49回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館出品。2010年には地域に開かれた文化施設「アーツ千代田 3331」を創設し、2023年まで運営。東京ビエンナーレでは総合ディレクター(2021、2023)、総合プロデューサー(2025)を務める。平成22年度芸術選奨、2018年日本建築学会文化賞受賞。『アートプロジェクト文化資本論: 3331から東京ビエンナーレへ』(晶文社)など著書多数。   毛利嘉孝 社会学者。1963年長崎県生まれ。東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科教授。京都大学卒業、広告会社勤務後、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジでPhDを取得。特に現代美術や音楽、メディアなど現代文化と都市空間の編成や社会運動をテーマに批評活動を行う。主著に『ストリートの思想』(日本放送出版協会)、『文化=政治』(月曜社)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)、編著に『アフターミュージッキング』(東京藝術大学出版会)などがある。  
【終了】2025.10.18 / エトワール海渡リビング館

参考図版:《Sourceless Waters: White. Shadows》2024年 アジアン・アート・ビエンナーレ2024(台中)での展示風景
Image courtesy of the National Taiwan Museum of Fine Arts.
参考図版:《Sourceless Waters: Whip & Knife》2024年 釜山ビエンナーレ2024での展示風景
Image courtesy of Busan Biennale Organizing Committee
参考図版:《A Mangrove apple tree》(ニャー・サン・コレクティブの「Bến project」)2022年
ドクメンタ15(カッセル)での展示風景、Stadtmuseum、2020年 Image courtesy of the artists
助成:独立行政法人国際交流基金
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撮影:Dat Vu & Jay Santiphap

チュオン・クエ・チー & グエン・フォン・リン

グエン・フオン・リン(1985年生)とチュオン・クエ・チー(1987年生)は、長年にわたり友情と協働を重ねてきたアーティスト。それぞれが異なる実践を通じて、現代における身体性、記憶、そして時間への問いを深めている。

グエンの作品は、フォルムと時間の関係性を静謐に探求し、近年は身体の動作や痕跡を想起させる表現を通して、身体の持つ持続性や回復力への詩的なアプローチを展開している。一方、チュオンは、社会的・歴史的・個人的なレイヤーが交錯する中で、日常のスペクタクルやその中に潜む矛盾や謎に光を当てる映像・インスタレーション作品を発表してきた。

両者は2021年に、人生の同期するリズムに呼応するかたちで協働制作を始動。作品同士は対置され、重力や高さ、儚さといった身体的感覚を通じて空間に詩的な緊張をもたらし、観る者の感覚を揺さぶる。彼女たちの関心には、世代を超えて引き継がれる喪失の記憶や、さまざまな社会的文脈における女性の身体の物質性とイメージが含まれている。近年は、2024年の釜山ビエンナーレおよびアジア・アート・ビエンナーレで作品を発表。また2013年から、ハノイを拠点とするアーティスト主導のスペース「Nhà Sàn Collective(ニャー・サン・コレクティブ)」のキュレーション・ボード・メンバーとしても活動している。

日本橋・馬喰町エリア

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