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藤森照信がひもとく神田の看板建築 〜中村政人とのアートと建築の対話

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藤森照信がひもとく神田の看板建築 〜中村政人とのアートと建築の対話

終了
種別

レクチャー

散歩

会場

神田・秋葉原エリア

海老原商店

千代田区神田須田町2-13-5

日程

2025年11月15日(土)

[第1部] 15:00-16:00 [第2部] 16:30-18:00

料金

一般/3,000円、学生/1,000円、高校生以下無料

藤森照信氏 建築史家、建築家(工学博士)、東京都江戸東京博物館館長

木造建築が残る神田須田町・岩本町・東神田・馬喰町界隈を中心に、その町並みを巡りながら東京ビエンナーレ2025で拠点となる3箇所の木造建築の会場を周ります。

 

散歩冒頭では、建築史家・藤森照信さんをゲストに迎え、看板建築と呼ばれる木造建築の歴史を紐解くレクチャーを踏まえ、街に散歩に出ていきます。

「看板建築」の名付け親、藤森照信さんと、プロジェクトの旗振り役である中村政人(東京ビエンナーレ2025総合プロデューサー、アーティスト)がお連れする、木造建築の魅力を堪能する散歩となります。

 

藤森照信さんからのメッセージ

日本では看板建築のように、大都市の中心部に木造の建築が遺っている。こうした現象は、欧米にはない。欧米の都市では、例えばイギリスならロンドン大火、アメリカならシカゴ大火以後、それまで一般的だった木造は禁止され、ことごとく煉瓦造と石造に建て替えられたからだ。

煉瓦や石造の完全防火建築の伝統を持たない日本は、大正9年の建築基準法制定にあたり、木造を木造のまま難燃化するため、木造の表面に銅板やモルタルやタイルを貼る「準防火」という独特の策を編み出し、この政策が震災の焼け野原の跡に看板建築を群生させている。

ビルの谷間に今も遺る木造は、世界的には極めて珍しい都市遺産に違いなく、どう生かすかは今後の日本の都市にとって大きな課題となるに違いない。

藤森照信
建築史家、建築家(工学博士)
東京都江戸東京博物館館長

アーティスト

関連展示

  • インスタレーション
  • 彫刻・立体

秋山珠里:金の浮島

秋山珠里は蜜蝋を主材料とし、その歴史・文化・哲学的背景にふれながら、絵画と彫刻を横断する作品を制作しています。今回は、モルタル装飾が印象的な看板建築「角地梱包」にて、場の歴史に呼応する展示に挑みます。   関東大震災後の東京に現れたバラック建築に、当時の芸術家・村山知義はアヴァンギャルド装飾という芸術の場を見いだしました。また復興期の木造建築には、建物正面を銅板、モルタル、タイルなどの不燃材料で覆い、多様に装飾したものが現れました。後年、建築史家の藤森照信が「看板建築」と名付けたこれらの建物は、バラックのおおらかな装飾性と媒体性を受け継ぐようでもあります。   その後、東京は戦争で再び焼け野原になり、地価高騰を経て、いまや建築物は土地の「うわもの」とされるに至ります。一方で建物内に目を向ければ、日本建築史の中では、芸術は仮設的な屏風や障壁画などから、床の間という「領地」を獲得しています。   「仮設・常設・基礎」。秋山は今回、この流動的または創造的な関係性について、古くから表面性や仮設性の象徴である蜜蝋を用いて表現します。会場は現存する貴重な看板建築であると同時に、かつて梱包業という「出発準備」や「ここにいるがすでに出発している」という曖昧な境界を担ってきた場でもあります。     協力:角地梱包 *秋山珠里は「看板建築プロジェクト」参加作家です。
【終了】2025.10.17 - 12.14 / 角地梱包
  • 彫刻・立体

黒川岳:石を聴く(会場①)

一見すると大きな石塊に見える作品《石を聴く》には、私たちの頭が入るくらいのサイズの穴があります。そっと頭を入れてみると、風の音、周囲の声や音など、環境が奏でる音が響いています。それは作品の置かれた場所や状況によっても変わってくるでしょう。   本作のタイトルは、彫刻家のイサム・ノグチの言葉「自然石と向き合っていると、石が話をはじめる」も連想させます。一方で黒川は、物体や環境と身体との関係に着目しながら、彫刻やパフォーマンス・音楽などを制作するアーティストです。この展示では、外部からの鑑賞のみが許されることの多い彫刻作品が、鑑賞者がその内部でじっと耳を澄ませる作品にもなります。両者を往来する経験は、私たちが生きる環境について感じ直すひとときとなるでしょう。   今回は、寺院の境内と街中の旧氷店という、性格の異なる場に本作が設置されます。   本作品は神谷氷店でも展示します。これは「看板建築プロジェクト」の一環となります。 寛永寺・開山堂両大師で展示予定だった黒川作品は、安全面を考慮し中止となりました。 会期中には黒川の企画によるワークショップ「街のかたたたき」も開催します。   特別協力:東叡山寛永寺 協力:東京藝術大学、神谷氷店  
【終了】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前
  • インスタレーション
  • パフォーマンス

テントハウス・アートコレクティブ&オーブンネットワーク:その家は見た目より広い

テントハウス・アートコレクティブは、オスロを拠点に2009年から活動するアーティスト集団です。コミュニティとの関わり、共同性、包摂性を焦点に、プロセス重視の実践を重ねています。また、かれらが展開するオーブンネットワークは北欧と東南アジアのコレクティブをつなぎ、共に学び・考え、長期的な関わりを育むことを目指しています。   今回、かれらは神田の築100年近い看板建築・海老原商店を拠点とし、建物の歴史に着想を得たプロジェクトを展開します。「トランスローカル」の概念のもと、参加メンバーと地域コミュニティが関わり合いながら新たな場をつくり、固定概念を揺さぶりつつ、現在の課題を変容させていきます。   後援:ノルウェー大使館 助成:OCA, Globus Forward 協力:海老原商店 *テントハウス・アートコレクティブ & オーブンネットワークは「看板建築プロジェクト」および「海外連携プロジェクト」参加作家です。   プロジェクトは以下の要素で構成されます。これらを通じてコレクティブと地域コミュニティの知識や経験をつなぎ合わせ、過去の伝統を尊重しつつ、未来を変えていくための動きの場を生み出すことを目指します。     RRR OFFICE Research(調査)、Record(記録)、Report(報告)を行う仮設のオフィス的空間が会場に出現します。このプロジェクトは芸術活動において見過ごされがちな管理業務や運営、制作過程などに焦点を当て、重要な文化的行為ととらえます。プロジェクトの内省的な核として、現場で起こることを観察・記録しながら、来場者にも会話への参加や、質問のやり取り、記録やメモの提供などを促します。こうして集まった資料は増え続けるアーカイブとなり、記録そのものが創造のプロセスに積極的に関わる空間を生み出します。 また、会期中にオーブンネットワークによる「Sub-rent Program(サブレント・プログラム)」を開催。カナダ、インドネシア、ノルウェー、タイなど、様々な国や地域からアーティストやコレクティブが会場に滞在し、来場者や地域との交流やワークショップを開き、クリエイティブな場として海老原商店を活性化していきます。   オフィス稼働日程:本ページ「日程」欄参照   Sub-rent Program(サブレンタルプログラム) 10月30日(木)〜11月6日(木) スレッケ・ワールド(テントハウス・アートコレクティブ/ノルウェー) 11月6日(木)〜9日(日) コレクティブ・コレクティブ(アートコレクティブ/カナダ) 11月13日(木)〜16日(日) ヘレン・エリクセン(テントハウス・アートコレクティブ/ノルウェー)、リリー・オンガ(タイ) 11月20日(木)〜24日(月・振休) グループ展「Knot | Kawaii Witches」(アーティスト:ベン・カ/ユン・へジョン/ヨハナ・リード、キュレーター:李静文) 11月27日(木)〜30日(日) エバ・モイ&アンナ・カリン・ヘドベリ(テントハウス・アートコレクティブ/ノルウェー) 12月4日(木)〜7日(日) グラフィス・フル・ハラ(Grafis Huru Hara)(アートコレクティブ/インドネシア) 12月11日(木)〜14日(日) Studio 150(アートスタジオ/タイ) 12月13日(土) Ravn (Mike TV) (ノルウェー) 12月14日(日) クルト・ヨハネッセン&スティッチ・シスターズ(ノルウェー)   STIM – Kizuna テントハウスのシャフルザード・マレキアンとイーダ・ウヴァースが、新作パフォーマンス「Kizuna」を発表します。本作は海老原商店とその周辺で展開されるサイトレスポンシブな(=場に呼応する)作品です。パフォーマンスは身体性と動きを通したリサーチによって形作られ、共有されるリズムや存在感、注意深さ、そして映像としてそこに痕跡を残していきます。制作においてはパフォーマーも募集しました。 » 詳細・予約はこちら   各種アクティベーション ワークショップや議論型プログラムなど。下記「関連イベント」欄を参照。
【終了】2025.10.17 - 12.14 / 海老原商店

写真プロジェクト「Tokyo Perspective」参加作品
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中村 政人

アーティスト/東京藝術大学美術学部教授
芸術未来研究場 アート×ビジネス領域長

1963年秋田県大館市生まれ。1993年「The Ginburart」(銀座)、1994年の「新宿少年アート」(歌舞伎町)でのゲリラ型ストリートアート展。秋葉原電気街を舞台に行なわれた国際ビデオアート展「秋葉原TV」(1999〜2000)、「ヒミング」(富山県氷見市)(2004〜2016年)、「ゼロダテ」(秋田県大館市)(2007〜2019年)など、地域コミュニティの新しい場をつくり出すアートプロジェクトを多数展開。1997年よりアート活動集団「コマンドN」を主宰。

2010年民設民営の文化施設「アーツ千代田 3331」(東京都千代田区)(2010〜2023年3月閉館)を創設。地域に開かれたアートセンターとして、約13年間運営を行う。2001年第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館に出品。マクドナルド社のCIを使ったインスタレーション作品が世界的注目を集める。2020年より「東京ビエンナーレ」の総合ディレクターを務める。著書に『美術と教育』(1997)、写真集『明るい絶望』(2015)、『新しいページを開け!』(2017)、『アートプロジェクト文化資本論:3331から東京ビエンナーレへ』(2021)。平成22年度芸術選奨受賞。2018年日本建築学会文化賞受賞。

日本橋・馬喰町エリア

エトワール海渡リビング館