- パフォーマンス
RRR OFFICEサブレントプログラム⑨ クルト・ヨハネッセン、スティッチ・シスターズ|パフォーマンスイベント「Static Sense」
「Static Sense」は、ノルウェーのアーティスト、クルト・ヨハネッセンと、アートコレクティブであるスティッチ・シスターズによるパフォーマンスイベントです。
海老原商店は、地域コミュニティなかで長年親しまれてきた場所であり、この空間そのものが、数えきれないほどの記録されなかった記憶や、労働や対話の痕跡、残された気配や微細な空気感を蓄えています。「Static Sense」は、この場所に宿る重層的な時間を感知し、「いま、ここ」に立ち現れる身体を通して、その見えない歴史を呼び覚まそうと試みます。
本企画は、芸術体験を一方向に伝えるものではなく、劇的な行為や物語を伴わなくとも、参加者一人ひとりが静かに変容していくような出会いの場をつくることを目指しています。私たちが注目するのは、空間の限られた境界の中で、身体が「物質的な詩」として立ち現れる瞬間です。一見静止しているように見える身体も、その内側では知覚が絶えず動き続けています。その微細な振動に耳を澄ませることで、共有された時間と対話が、個々の存在にどのような変化をもたらすのかが浮かび上がります。
イベント全体を通して、パフォーマーと観客のあいだに生まれる関係性、そしてその出会いから立ち上がる表現の可能性を探ります。両者の絡み合いは、静かに経験される一時的な共通の地平をつくり出します。ここでのパフォーマンスは、単に「見られるためのもの」ではなく、私たちの意識に介入し、共鳴や戸惑い、そして静かに共有される気づきの瞬間を呼び起こします。
クルト・ヨハネッセンのミニマルで詩的なパフォーマンスは、意味を限定することなく、観客自身の知覚や思考の余地を残します。スティッチ・シスターズは、対話や協働のプロセスから生まれる参加型のパフォーマンス作品を展開し、共有された関わりを通して人々の関係性を紡ぎ直します。アプローチは異なるものの、両者に共通するのは、自己を強く主張するのではなく、相手にそっと触れるようなつながりの感覚を育む試みとなります。
参加アーティスト
クルト・ヨハネッセン(Kurt Johannessen)
1960年生まれ、ノルウェー・ベルゲンを拠点とするアーティスト。主にパフォーマンスとアーティストブックを中心に活動しています。1980年代初頭より、ヨーロッパ、アジア、アメリカ各地でパフォーマンスを発表してきた彼の作品は、詩的でミニマルな表現を特徴としています。また、テキストを用いた制作も活発に行っており、自身のアーティストブックを出版しています。そのテキストワークは短く、視覚的かつ詩的で、ときにユーモアを含みます。これまでに140冊以上の書籍を制作しています。2025年に東京アートブックフェア(会場:東京都現代美術館)に参加予定。
https://www.zeth.no/
スティッチ・シスターズ(The Stitch Sisters)
糸を媒介に、歴史・身体・労働の関係性を再考するリサーチ・パフォーマンス・コレクティブ。編む行為、ストーリーテリング、音、香りを取り入れながら、搾取とケア、生産と日常生活のあいだに潜む結びつきを掘り起こし、創造的な未来を紡ぎ出します。
【終了】2025.12.14 / 海老原商店