東京ビエンナーレ2023に参加するプロジェクトです。
これらひとつひとつのプロジェクトが見いだし、つくり出すリンケージ(つながり)にご注目ください。
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画家。1973年東京生まれ。旅の途上で目撃した光景を、虚実入り混じるイメージで細密に描く。喪われていく時代の遺物への眼差しと、詩的な言葉を絵画に配する文学的な作品世界が特徴。文章のみの作品や映像も手がける。主な展覧会に『線の迷宮Ⅲ:齋藤芽生とフローラの神殿』展(2019年、目黒区美術館/東京)、著書に『徒花図鑑』(芸術新聞社刊)等。現在、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻にて教鞭を執っている。
1971年、神奈川県小田原市生まれ。1994年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。1997年、イギリス、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート版画コース修了。布や刺繍を生かした作品を制作、発表している。 作品のテーマは生き続ける限り切り離せない「いたみ」や「恐れ」。「いたみ」を縫い止め、補強し、昇華させ、そこから解放されるための美しい造形を目指している。女性と手芸と美術の関係に興味があり、作品を通して調査中。
アートディレクター、デザイナー、画家。1961年、東京生まれ。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学・言語社会学を学ぶ。美学校菊畑茂久馬絵画教場修了。1998年、アジール・デザイン(現アジール)設立。 2003~10年、「セントラルイースト東京」プロデュース。2010年、「アーツ千代田 3331」立ち上げに参画。「トランスアーツ東京」を機に絵画制作へと重心を移す。サンフランシスコ近代美術館パーマネントコレクションほか国内外で受賞多数。多摩美術大学教授。
gluon / 3D Digital Archive Projectディレクター。千葉大学工学部都市環境システム学科で都市計画を専攻後、空間デザイン事務所にて展覧会やイベントの企画、商業施設の開発に携わる。2018年より「建築・都市」とテクノロジーを両軸に新しい価値を生み出す領域横断型プラットフォームgluonに参画。都市×アート×テクノロジーを切り口に、クリエイティブを核にした企画開発に従事し、建築・都市の3Dデジタルアーカイブや都市のビジョン構築、技術実装に取り組んでいる。
1983年京都生まれ。早稲田大学芸術学校で建築を学び、在学時より野老朝雄氏に師事する。幾何学や素材の特性、取り巻く環境の中で、主に彫刻やインスタレーション、写真などを制作する。様々なスケールで、自然、人、建物や都市、社会情勢などの関わりや繋がりを考察しながら、それぞれのかたちについて考えている。奥能登国際芸術際、UBEビエンナーレなど様々な地域の芸術際への出展、またMIYASHITA PARKの天井面に設置された大規模な作品、大阪国際空港の壁面6か所に設置された作品群などの常設作品も多数手がけている。
武蔵野美術大学造形学部卒業。2003年から2010年まで、街を展示会場にするアートイベント「Central East Tokyo」の事務局を担当。WebやTVCMを中心とした広告業界にて自動車メーカーのプロモーション企画を中心に、コピーライティング、キャスティング、ロケーションコーディネート、イベント運営などを経験し、現在はクルマに限定したビデオグラファーとして活動中。自動車の映画祭「International Auto Film Festa」発起人。京都芸術大学非常勤講師。
2003年生まれ。植物の葉面に流れる微弱な電気信号からシンセサイザーを演奏するパフォーマンスをTEDxUTokyoなどで行ってきた。現在は音をベースとした植物との新たなインタラクションを模索している。趣味は俳句とDJ。
アバンギャルドなノングリッドビートが生むズレが奇妙なグルーヴを孕ませるトラック「KABI」を自身のYouTubeチャンネルに公開。音楽のほか映像やアートワークも自身で制作している。ジャンルレスなアプローチで、アンダーグラウンドから活動を展開する。
2017年、デザイナー伊豆味俊が立ち上げる。一点一点手染め・ペイントを施し、ブランドコンセプト「感情をまとえ」のもとに、静謐さの中で爆発する感情を表現。2018年には兄・伊豆味大作が加わり、兄弟中心にチームが作られ現在に至る。2022年9月に「Rakuten fashion week 2023SS」出展。
東京文化資源会議会長、國學院大学観光まちづくり学部教授。社会学者として、上演論的アプローチから都市論、メディア論を展開、日本のカルチュラル・スタディーズで中心的な役割を果たしてきた。長く東京大学で教え、大学院情報学環長、大学総合研究センター長、教育企画室長、副学長などを歴任。現在、デジタルアーカイブ学会長も務める。主な著書に『都市のドラマトゥルギー』(河出文庫)、『博覧会の政治学』(講談社学術文庫)、『万博と戦後日本』(講談社学術文庫)、『親米と反米』(岩波新書)、『アメリカの越え方』(弘文堂)、『視覚都市の地政学』(岩波書店)、『五輪と戦後』(河出書房新社)、『東京裏返し』(集英社新書)、『東京復興ならず』(中公新書)、『敗者としての東京』(筑摩書房)などがある。
リオデジャネイロ出身のピアニスト、作曲家、演奏家。彼の創造的な音楽プロセスは、経験、感情、音楽の相互作用を探求する革新的なアプローチにより特徴づけられる。アーダラン・アラムとの共同プロジェクト「フリーシート」で、シルヴァは街でのランダムな出会いの中で人々のために音楽を制作し、「O Trampolim de Oiticica」プロジェクトでは、社会的、個人的な問題を探求するパフォーマンスを通して音楽を制作する。また、世界中のアーティストとコラボレーションし、ヨーロッパ、アジア、ブラジルでコンサートやワークショップを行う。UNIRIO(リオデジャネイロ)でブラジル音楽の学位を、Escola Superior de Musica(リスボン)でジャズピアノの修士号を取得。インドの主要な音楽学校であるGlobal Music Institute(デリー)とSAM(チェンナイ)で、ピアノと作曲の客員教授を務めた。
アーティスト。1974年バンコク生まれ。ドイツで学びつつ、タイ、カナダ、日本、ドイツ等で個展・グループ展を精力的に行う。主な展覧会に第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ タイ館(2009)。2009年からシルパコン大学講師。作品は、社会、政治、経済、文化の問題を批評的に捉えている。各プロジェクトは、彫刻、サウンド、ビデオ、インタラクティブ・インスタレーションなど、作品ごとのトピックにしたがって異なるメディアで構成される。
オーストラリアのメルボルン在住の加藤チャコとディラン・マートレルが主宰するアートコレクティブ。2009年より、環境に負荷の少ない身近な素材を駆使して、観客とともに完成させていくアートを展開している。コミュニティ、環境、自然、街、素材とのコラボレーションを大切にして、それがゆっくりと社会の中に浸透し成長していくようなアート活動のあり方を模索している。タラワラ美術館、ヌーサ美術館、マッククレランド野外彫刻美術館、モーニントン半島美術館、シドニーパワーハウスミュージアム、Mパビリオン、ビクトリア国立美術館、ガートルード・コンテンポラリー、シンガポールのエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ、その他地域の学校、アートフェスティバル、ショッピングセンターなど多岐にわたる場所で制作活動を展開している。
加藤チャコ
アーティスト。宮城県仙台市生まれ。ボストン美術館スクールをへて、メルボルン大学Victorian College of the Arts にて修士課程。1999年よりメルボルン在住。2009年にスローアートコレクティブを結成。新しい空間、状況との出会い、新しい社会的文脈との出会い、新しい素材やプロセスとの出会いといった、絶え間ない「出会い」が彼女の制作の源泉である。メルボルン近郊の緑豊かな場に拠点をおいて「自分の足元でひそかにくりひろげられる有機的な営みと変容」をみつめつつ、同時に現代社会の過剰なノイズと向かい合い偶然性と必然性を融合し、プロセスに焦点をおいた制作活動を行っている。
https://www.chacokato.com/
ディラン・マートレル
アーティスト/ミュージシャン。スコットランド生まれ。オーストラリア在住。音楽の持つ瞬時性、即興、協働をベースにアート表現を行っている。音楽的ディアスポラという概念的な枠組みの中で、音楽が空間を旅し、地理、気候、文化、材料の変化に影響され、異文化間の相互作用のための手段となる作品を展開する。サイトスペシフィックな素材、アップサイクル、DIY文化、ロボット工学、代替電源の要素を取り入れながら、永続性、持続性、コミュニティベースの集団力学の概念に重点を置いたプロジェクトを世界中で行っている。
https://www.dylanmartorell.com/
出張料理人/現代美食家
全国各地でその土地の素材のみを扱い、風土と歴史が交差する料理を和紙の上に表現する。その他、芸術祭でのレストランプロデュース、食による地方創生、フードエッセイの連載、映画出演など、あらゆる食領域で活動。現在はウクライナ避難民へ食糧ではなく”美味しい”を届けるプロジェクトを立ち上げる。2015年に大地の芸術祭「うぶすなの家」、2016年に瀬戸内国際芸術祭「レストランイアラ」に参加。2017年には北は北海道羅臼から南は奄美群島まで日本中を巡りながら各地でその土地の歴史と文化、自然と人々の営みを食卓で表現する。2021年、7ヵ月だけの食とアートの実験場sevenを手掛ける。各方面のアーティストとのコラボレーション映画「もったいないキッチン」に出演、クックパッドにて連載など、様々な形で新しい食の在り方を実践し続けている。2023年ウクライナ大使館後援・創業手帳主催の「ウクライナ難民×日本のスタートアップ花見」のイベントでも日本とウクライナを料理をつなげるパフォーマンスを披露した。
シンガポール生まれ。陶芸という極めて触覚的・工芸的なメディアから活動を始め、やがてその根底にあるもの(大地、元素、身体性、サイクル)を通じて、彼女の興味は農業、食糧、環境、ひいては持続可能性へと広がった。しかし、周囲や外側を見ることは、同時に内側を見つめることなしには意味をなさなかった。持続可能な個人について考えることなしに、持続可能な開発について研究することは難しい。彼女の現在の関心は、外的世界と個人的世界の間の、より全体的で相互依存的な関係を統合することである。自然界、特に樹木や薬用植物に惹かれ、修復とリサイクルに携わり、循環的再生の概念を通して自然の残骸に取り組んでいる。
アーティスト・food creation 主宰。欲望、好奇心、進化をテーマにした食に関する作品をパフォーミングアート、インスタレーション、ダイニングエクスペリエンスなどの手法で数多く発表。本能的な無意識の感覚に訴えることのできる表現の媒体として「食」を扱い、感情、記憶などの内在する感覚を「あじわい」で伝えることで、体験者に新たな問いや発見をもたらす作品が特徴。 美食でもグルメでもない、栄養源でもエネルギー源でもない新たな食の可能性を追求している。2008年、金沢21世紀美術館で初の個展「食欲のデザイン展 感覚であじわう感情のテイスト」を開催。現在までに東京・金沢・福岡・シンガポール・パリ・香港・台北・ベルリン・バルセロナなど国内外で「ゲリラレストラン」、ダイニング エクスペリエンス「Journey on the table」を開催。2014-15年、金沢21世紀美術館 開館10周年記念展覧会「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」を、東京大学総合研究博物館とともに開催。2019年「Journey on the Tongue」がEUとアルスエレクトロニカによるアワード「STARTS Prize」のWinnersに選定される。2020年「記憶の珍味 諏訪綾子展」(資生堂ギャラリー)開催。
サウンド・アーティスト/即興演奏家。ピアノと自作装置を組み合わせた、回りくどく落ち着きのない感じの演奏や展示を行う。気にしていることは、道具や楽器のインタラクションと身体性とのずれ、そのずれから生まれる物語性。
写真家。1963年、和歌山県新宮市生まれ。1998年、地理的移動と時間的推移の可視化を主題にシークエンスで構成した初の写真集 『KUMANO』 を出版し、2000年『PILES OF TIME』で第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。ライフワークともいえる熊野での撮影の他、南仏のサント・ヴィクトワール山、セザンヌのアトリエ、桜、雪のシリーズといった多様な対象を異なるアプローチでとらえているが、一貫しているのは「見ること」への問題意識と、写真というメディア の特性への関心である。主な展覧会に「絵画と写真 柴田敏雄と鈴木理策」(アーティゾン美術館、東京、2022)、「意識の流れ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川/東京オペラシティアートギャラリー/田辺市立美術館、和歌山、2015–2016)、「水鏡」(熊野古道なかへち美術館、和歌山、2016)、 「熊野、雪、桜」 (東京都写真美術館、2007)など。