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上野・御徒町エリア

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藤原信幸:ガラスを使って自然を表現する「植物のかたち」2025

藤原信幸は「いきもの」のかたちに魅力を探り、これらをモチーフとして繊細かつダイナミックなガラス造形作品を生み出します。彼のガラスへの関心は、光がもつ環境に与える力を感じとり、光がつくる空間の可能性を追求することにつながっています。その長いキャリアを通じて、彼はガラス表現の可能性をめぐる探求と葛藤を繰り返しながら、これらを象徴的な「かたち」に変換しようと試みています。   今回はその実践から生まれた作品群が、寛永寺の空間と呼応するように展示されます。2009年頃から制作を始めた〈小文間の植物シリーズ〉は、自身の工房がある茨城県取手市、利根川流域の小文間(おもんま)に自生する植物の生命力に触発された作品群です。自然の中にある生命サイクルを身近に感じながら、植物の断片的なイメージを独自に組み合わせて再構築したものです。これらが創建400年を迎える寛永寺で再構成され、新たな空間イメージを創出します。 特別協力:東叡山 寛永寺 協 力:東京藝術大学
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 東叡山 寛永寺 貴賓室
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小瀬村真美:風景畫 ー 葵の間、東叡山寛永寺

小瀬村真美は、古典絵画を現実の事物を用いながら写真・映像表現として再現することで、絵画の裏に視点を差し込もうとする独特な制作手法を展開しています。   小瀬村は今回、東叡山寛永寺の「葵の間」に掛けられている一枚の油彩画に注目しました。これは、江戸の15 代将軍・徳川慶喜が描いた《西洋風景》(1887–97)の複製だとされます。慶喜は1867(慶応3)年に政権を天皇に返上する「大政奉還」を行いましたが、1868年2 月12 日から同年4 月の江戸城の無血開城まで約2か月間、この場所で謹慎生活を送ったとされています。その後に描かれた《西洋風景》は、歴史人の筆による絵画として貴重なだけでなく、当時の日本画と西洋絵画の技法が交錯する作品であり、変革期の美術を映す貴重な存在でもあります。   小瀬村はこの《西洋風景》、および同時期に慶喜が描いた《日本風景》(1870頃)を手がかりにした写真作品を2点制作し、葵の間に展示します。そこでは、歴史的な空間と絵画の記憶が現代のアーティストによるアプローチで重ね合わせられ、新たな体験が創出されるでしょう。 特別協力:東叡山 寛永寺 協力:東京藝術大学
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 東叡山 寛永寺 葵の間(廊下)
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森 淳一:星翳

森淳一は彫刻、セラミックや写真、油彩などにより、光と影が繊細に交錯するような緊張感あふれる作品を生み出します。これまで、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた水流や毛髪などの素描を元に大理石や柘植(つげ)の木で制作した彫刻シリーズや、故郷の長崎の原爆をテーマとする作品などを制作してきました。   今回は東叡山 寛永寺の渋沢家霊堂前庭にて、森が2025年春に開始した彫刻シリーズ〈星翳〉の最新作を発表します(詳細近日公開)。 特別協力:東叡山 寛永寺 協力:東京藝術大学
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 東叡山 寛永寺 渋沢家霊堂前庭

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黒川岳:石を聴く

黒川岳は、物体や環境と身体との関係に着目しながら、彫刻やパフォーマンス・音楽などを制作するアーティストです。   今回展示される《石を聴く》は、一見すると大きな石塊に見える作品です。そこには私たちの頭が入るくらいのサイズの穴があります。そっと頭を入れてみると、風の音、周囲の声や音など、環境が奏でる音が響いています。それは作品の置かれた場所や状況によっても変わってくるでしょう。   今回は、寺院の境内と街中の店舗跡という、性格の異なる場に本作が設置されます。また、寛永寺 開山堂(両大師)の庭園内にある寝釈迦石(ねじゃかせき)の「穴」(既にあったものを作家が見つけた)でも、同様に頭を入れて音を聴くことができます。   *本作品は複数会場で展示されます。詳しくは「会場」「日程」欄をご覧ください。 *会期中には黒川によるワークショップ「街のかたたたき」も開催予定。   特別協力:東叡山寛永寺 協力:東京藝術大学、神谷氷店
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前 ② 東叡山 寛永寺 開山堂両大師 ③ 神谷氷店
  • サウンドウォーク

鈴木昭男:「点 音(おとだて)」in 東京ビエンナーレ 2025

日本におけるサウンド・アートの先駆的な活動者として知られる鈴木昭男は、1960年代より、音と場の関わり方を探求する姿勢によって、「自修イベント」やパフォーマンス、インスタレーションなどを国内外で展開してきました。今回は、鈴木の幅広い活動の中でも特に「聴く」ことにフォーカスした代表的なプロジェクト「点 音(o to da te)」を、都内 6か所で実施します。   「点 音」は、茶の湯の野点(屋外で行う茶会)のように、参加者が定められた場所(ポイント)で風景を感じながら耳を澄まして感覚を開くプロジェクトです。それぞれのポイントは、鈴木が自らまちなかを探索して、ユニークな環境音や反響音が聴ける場所を探し出したものです。   こうして選ばれたポイントには、佇みを誘う足跡の形と、聴くことを即す耳の形からなるマークが敷設されています。歴史ある寺院の境内にある老樹に向き合うものや、美術館やギャラリーの多い賑やかな通りの周辺など、参加者はマップをもとにそれらのポイントを訪ねます。ひとり静かにマークの上に立つと、聴覚意識がスイッチオンし、その時々の巷の音に耳を澄ます体験ができます。そこでは私たち誰もが「聴く側にも、作曲者にもなれる」、そうした能動性のある時間を過ごすことになるでしょう。   特別助成:公益財団法人石橋財団
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前 ② 不忍池辯天堂 ③ 松坂屋上野店周辺 ④ 末広町駅周辺 ⑤エトワール海渡リビング館周辺 ⑥ 京橋彩区(アーティゾン美術館/TODA BUILDING)周辺

日本橋・馬喰町エリア

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L PACK.:Totes my GOATs

L PACK.(エルパック)は小田桐奨と中嶋哲矢によるユニットです。二人は共に1984年生まれ、静岡文化芸術大学空間造形学科卒。アート、デザイン、建築、民藝などの思考や技術を横断しながら、最小限の道具と現地の素材を臨機応変に組み合わせた「コーヒーのある風景」をきっかけに、まちの要素の一部となるような活動や作品を展開しています。   今回かれらは、各地の芸術祭でお馴染みのグッズである「トートバッグ」に着目したプロジェクトを予定しています(詳細近日公開)。
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
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ピョトル・ブヤク:NO.W

ピョトル・ブヤクはポーランド出身の学際的アーティスト、独立研究者です。彼はアイデンティティ、政治、メディア、文化遺産をめぐる異文化分析などに関心を寄せ、その作品の多くは、DIYかつ低予算、即興的かつゲリラ的な手法でつくられます。本人はこれを「ミニマリスティック・パンク・コンセプチュアリズム」と呼んでいます。   《NO.W》は、1960年代後半のイタリアで起った前衛芸術運動「アルテ・ポーヴェラ」(貧しい芸術)に触発され、「視覚的俳句」のコンセプトを取り入れたインスタレーション作品です。それは公共空間と都市倫理の文脈において、住まい、安全、アイデンティティ、障害、無視、触覚などの概念を問い直す、曖昧ながら繊細な環境づくりを目指すものです。ブヤクはここでスペクタクルの概念を拒否し、シチュアシオニストやポスト構造主義的な反モニュメント思想にも遊戯的にもふれながら、この試みに挑みます。   本作は、小規模で、既存の私的な品々から構成されます。それは市民学、映像/視覚社会学や文化的アクティヴィズム、そして実験的人類学を結びつける、ブヤクの継続的なフィールドワークに基づくものです。これらはすべて学際的でリサーチ主導型のアート制作プロセスを通じて行われます。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
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窪田望:Inside Dementia

窪田望は経営者、AI 開発者、発明家、YouTuber、美術家など多領域で活動しています。美術家としては、AIのバイアス(偏向)やバグ、またインターネットが内包する構造(例えば公的な場におけるコンテンツの適切さ/不適切さの基準)に切り込みながら、本質的な未来のあり方を問いかける作品を手がけてきました。   今回は、自身が幼いころ祖母と過ごした記憶を起点に制作されたインスタレーションで参加します(詳細近日公開)。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館

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チュオン・クエ・チー/グエン・フォン・リン:BREATHE

ハノイを拠点に活動するチュオン・クエ・チーとグエン・フォン・リンは、2021年より共同制作を開始しました。チーは日常の風景や素材に宿るリズムや比率、空間性を繊細に読み解く作品を展開し、リンは映像や彫刻、インスタレーションを通して時間、身体、記憶の層を探ります。   今回は、アジア・アート・ビエンナーレ2024での《Sourceless Waters: White. Shadows.》、釜山ビエンナーレ2024での《Sourceless Waters: The Whip & The Knife》に続く、彼女たちの継続的な共同制作の一環としての作品を展示予定です(詳細近日公開)。
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
  • 展示

渡辺英司:名称の庭 / エトワール海渡インスタレーション

渡辺英司は、図鑑の植物や生き物の図像を切り取り、実空間に無数に配するインスタレーションで知られています。また世界各地での作品発表に加え、様々な場所でアートスペースを自らの手で作り続け、若手アーティストや海外アーティストをそこに招き入れながら、多様なコラボレーションを実現しています。   今回の展示で中心となるのは、植物図鑑や蝶図鑑から図像を切り抜いて、床面や壁面に配置するシリーズ〈名称の庭〉の最新版です。同シリーズは1992年に始まり、その後も様々な場所で展開されてきました。植物や蝶の図鑑では、対象となる生物が観察者によって発見・命名・分類され、図版と共に記述されます。例えば、散歩に出かけてそこで出合った植物やキノコの名前を知り得たとき、初めて目の前のものが自分自身の中で名指しできるものとして現れ、一個性として認識されるとも言えます。そうして確認された図版群を切り抜き、再度、異なる空間に「名付けられた庭」として再現するとき、私たちは新たな人間的自然を目の当たりにするでしょう。   会場ではさらに、同作とつながるようなフレーズを電球で表した作品《CATCH & RELEASE》や、渡辺が手がけたスモールブック群を展示するほか、来場者が作品に関わることのできるインタラクティブなしかけを計画しています。また会期中にはワークショップも予定しています(下記「関連イベント」欄参照)。 特別協力:株式会社エトワール海渡 協力:東京藝術大学
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
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エルケ・ラインフーバー:都市のエステティシャン

エルケ・ラインフーバーは、ドイツのエルヴァンゲン(ヤクスト)出身のメディアアーティスト、教育者、研究者です。現在は香港城市大学クリエイティブ・メディア学部(SCM)准教授も務めています。彼女の作品は様々な表現方法とストーリーテリングの戦略を探求し、「いま、ここ」に複数の真実が並行して存在することを浮き彫りにします。   彼女の分身である 「都市のエステティシャン」(the Urban Beautician)は、公共空間へのさりげない介入やカメラに向けたパフォーマンスを通して、都市環境において見過ごされてきた細部を改善しようと試みます。彼女は誰も気に留めないものに注目し、パフォーマンスやインスタレーション、映像、写真を通じて表現することで、都市の断片に新たな息吹を与えていくのです。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館

  • SOCIAL DIVE
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アダム・ロイガート:フォー・ザ・パブリック — 散歩

アダム・ロイガートは、デンマークとスウェーデンを拠点にするランドスケープ・アーキテクト、アーティスト、プレイスメーカーです。   今回の彼のプロジェクト「フォー・ザ・パブリック」の参加者は、すべての材料が置かれている場所からスタートします。 その材料とは、建設用の要素、旗、工具、そして持ち寄る食べ物などです。参加者をパレード形式で現場まで案内します。 これにより、参加者は単なる観客ではなく、イベントの参加者として機能します。これは、彼らが公共の空間でそれぞれの役割を果たす経験となり、観客から参加者への変容を意味します。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
  • SOCIAL DIVE
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カミラ・スヴェンソン:東京パレスホテルプロジェクト

カミラ・スヴェンソンは、ブラジル・サンパウロを拠点に活動するクィアのインターディシプリナリー・アーティスト、写真家です。   彼女は今回、ブラジルの古本屋で偶然見つけた、東京の観光ガイドブックを起点にしたプロジェクトを展開します。そのガイドブックは、1961年に建設された千代田区の「パレスホテル」開館に合わせて編集されたものでした。スヴェンソンは東京に訪れ、そのガイドに記された住所と地図を参考に、現在も存在する場所、変化した場所、または完全に消えてしまった場所を探訪します。そしてその体験を写真、動画、文章で記録し、道中で見つけたモノやその他の資料も収集し、このプロジェクトの制作プロセスじたいをインスタレーション形式で展示します。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
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マリアム・トヴマシアン:サンウォークス ― サンポ

マリアム・トヴマシアンは、アルメニア出身のヴィジュアル・アーティスト、イラストレーターです。彼女は言葉とイメージを組み合わせることで、ひとつの物語を無限のかたちで語ることができると考えます。その視覚的なストーリーテリングの可能性に魅了され、表現手法としてのメディアの可能性や、自身の創造性の境界を広げ続けています。   今回の「サンウォーク ― サンポ」は、東京在住の人々を参加型のアートプロジェクトに招き、都市と他者との出会いの物理的な痕跡を残すため取り組み。日光で印画することができるサノアノタイプ(青写真)は、19世紀に発明された写真方式です。彼女はこのプロジェクトで、日光と時間を主要な素材として使用しながら、急速に変化し、しばしば断絶もみられる都市環境において、静けさ、無常、そしてつながりを探求します 。参加者は、共有された「静けさ」の記念品として、1枚の写真を持ち帰ります。それぞれの写真についてもう1枚が、成長し続けるサイトスペシフィックなインスタレーションと小冊子にアーカイブされます。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館

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ナラカ・ウィジェワルダネ:偶発の足跡 — 東京の「想像を絶するもの」マッピング

ナラカ・ウィジェワルダネは、スリランカの映画監督、ビデオアーティストです。彼はまた、ドキュメンタリー映画理論、ビデオアートインスタレーション、マルチメディアストーリーテリングを専門とする博士課程の研究者でもあります。   今回、彼が東京に滞在して取り組むのは、都市空間を推論的な地形へと変容させるマルチチャンネル・ビデオアート・インスタレーションです。この作品は、偶然性、不在、非人間的な現実といったテーマを探求するものです。本作品は哲学者のカンタン・メイヤスーによる概念「ハイパー・カオス」をもとに、5つの相互接続されたインスタレーション「原因の不在」「存在論的残骸」「あなたを忘れる都市」「起源のないエコー」「想像を絶する間隙」を通じて展開されます。   非同期の映像投影、サイトスペシフィックなサウンドスケープ、センサーによるインタラクションを通じて、このプロジェクトは線形の物語を解体し、観客に記憶、因果関係、人間中心性から解放された東京を体験させてくれるでしょう。そこでは日常の空間、物体、音が解釈を拒否し、馴染み深い意味を溶解させる自律的な存在として再構築されます。インスタレーションは、変化する光、位置のずれたサウンド、断片化された映像が交錯する連続的な空間体験を創造し、訪れた者を不安定な知覚の領域に浸らせてくれます。それは都市の不可知なリズムへの瞑想であり、人間中心の物語を超えた都市環境との関係を再考する呼びかけとなるでしょう。 特別協力:株式会社エトワール海渡
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
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写真プロジェクト「Tokyo Perspective」

7組の写真家、アーティストが東京を歩き、「まちの今」を写真作品化。そのオリジナルプリントを特設会場(エトワール海渡リビング館)で展示するほか、ネット上のデジタルマップでも公開し、人々が撮影地点に訪れて実際の風景に対峙できるプロジェクトです。さらに、セブン‐イレブン各店舗の富士フイルムマルチコピー機で安価にプリントできる仕組みも用意し、新しい写真鑑賞やコレクションの楽しみ方を探ります。   協賛:富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社   参加アーティストより 畠山直哉 《#3418》(シリーズ〈山手通り 2008年〉より) 「散歩」   電車に遅れまいと急いだり、スマホ片手にスーパーに向かったりしている時、僕たちは自分が「歩いている」ということを忘れて歩いている。周りのことも最小限しか見えていない。   いっぽうで、自分が「歩いている」ことが、よく意識される場合がある。脚が痛くなったとか道に迷ったとか、不測の原因によることが多いが、時にはそれに伴って「なんで歩いてるんだっけ?」とか「歩いてるって、どゆこと?」などという、普段とは異なる疑問が湧いてきたりもする。   「散歩」とはたんに歩くことではなく、そのような「歩いている」状態に、自らの身をあえて置くことである。散歩の魅力は「歩いている」状態がもたらす刻一刻の、知覚経験の豊富さの中にこそある。散歩のあいだ、目に映るものは分け隔てなく、しかも普段とは異なる説得力をもって迫ってくる。僕たちは現実空間の中を、現象学的と呼んでもよいくらいの濃密な知覚や身体意識と共に歩くのだ。まるで水の中を泳ぐようにして。 片山真理 《Tokyo / Ueno #001》2025年、発色現像方式印画© Mari Katayama, courtesy of Mari Katayama Studio and Galerie Suzanne Tarasieve, Paris 上野公園に立つと、進学して最初の授業で先生に投げかけられた問いと、そのときの緊張感を思い出します。「ここがどんな場所か知っていますか?」 人が生きる限り、歴史が作られていく。学生時代の私は道端の小石にさえ理由を探し求めるほど、あらゆる事象に説明を欲していました。だからなのか、いくら歩いても上野公園の道を覚えられることはなく、慣れないのです。   撮影には中判フィルムカメラを使っています。セルフポートレートを撮るときは長いレリ ーズでバルブ撮影を行いますが、シャッターを閉じるには手動でフィルムを巻き上げる必要があり、カメラのもとへ戻らなければなりません。その間に生じる時間差によって、私の身体は半透明に写ります。これはデジタル編集や多重露光の効果ではなく、物理的な撮影条件から生まれる現象です。透けた身体はコントロールできない景色や環境と一体化し、場所の模様として記録されます。   たまたま生まれた私たちが、人為的につくられた世界のなかで、どこまで調和を保てるのか、撮影のたびに考えます。人が作ったものは間違いに満ちています。   知らないこと、それから当然と思っていた価値観や基準を一度忘れ、改めて考え直すこと。上野公園での緊張は、私の撮影の原点なのかもしれません。 港 千尋 《red1》2025年(シリーズ〈URBAN RITUAL /Tokyo2025〉より) 〈URBAN RITUAL /Tokyo2025〉   東京は巨大都市(メガシティ)という形容が定着して久しい。「1000万都市」東京は1950年代にニューヨークを抜いて世界一となり、64年には2000万人を、85年に3000万人を突破、2020年にはついに4000万人を超えて世界一を突き進んでいるという。   行政区をまたいで延伸する都市圏は衛星画像からも確認できる。統計上の数字とはいえ驚くべきことだが、そこに住んでいる住民に「世界一」の実感があるのかどうかはわからない。人口密度が連続する集積地域(urban agglomeration)の内側は不均質な「地元」の積み重ねではないだろうか。   そんな「町」の一角を切り取りつなげて連続性のパターンを作ってみる。不均質な都市から取り出す地元文様の試み。今回は東京ビエンナーレが繰り広げられる神田川沿いの高低差を含んだ地形と、そこを通る動脈である電車をモチーフにした。庶民の遊び心が生んだ江戸小紋ではないけれど、メガシティならではの文様と言えるかもしれない。 中村政人 街を散歩していると、目に映し出される全ての風景を創りだしている制作者をイメージしてしまう。   「路上の石」があるとすると、アスファルトを敷き白線を引く道路工事者の行為の上に、誰かが運んできた石が路肩に息を潜めるようにじっとしている、と読み解く。ビル群のスキマに小さな一軒家を見ると、戦後の焼け野原に木造建築を建てた棟梁達の技術や考え方と、型枠にコンクリートを流し込んでビルを建てる建築のサスティナビリティを比較するように見てしまう。   私は、行為の連続性から創造される「部分と全体」の因果関係を、作品やプロジェクトを通して表現してきた。釘一本の意思と、東京という都市の意思。部分を創り出す創造力と、都市を構成する全体の創造力は、人間社会や地球環境にいかなる関係を築いているのか? その関係項に私がひとつの行為を加える事で、部分と全体の関係は、どのように変化するのか?   今回の写真制作においては、風景を構成する部分と全体の関係をひとつの表現体として捉えている。そしてその表現体を見つめる私の視線を黄色いボールに置き換え、風景全体に新たな部分として介入する試みである。   *室内から撮影した場所が3か所あります。その場所に入るためのルールは、ウェブサイトやマップに記載します。 SIDE CORE 《INVISIBLE PEOPLE》2025年(シリーズ〈underpass poem〉より) 〈underpass poem〉   昔、神田に住んでいました。よく散歩をしていましたが、気になるけれどあえて立ち止まって見ることがなかった場所があります。それが首都高上野1号線の高架下です。   首都高1号羽田線の歴史は古く、高架下のガードレールや柱に排気ガスのススが長年降り積もって、真っ黒になっています。最近の車はそんなに多くの排気ガスを排出しないので、今となってはただ汚い高架下に歴史を感じてしまいます。また場所によっては誰かが指で書いた落書きがちらほらと点在していて、渋滞時よくそれを眺めていました。   意味不明な落書きが多いのですが、よく見れば中央分離帯など人が歩かない場所にかかれているものもあり、意外な作為性があります。今回、久しぶりに神田を訪れて散歩をしたとき、私たちもススを指で拭って詩を描いてみました。一見簡単そうに見えるのですが降り積もったススが固まっていて、一本の線を引くことすら難しく、手も服も真っ黒になりました。触れてみて初めてわかる街の姿があるのだと思います。もし、場所を探しに散歩してもらえるのであれば、皆さんもぜび触ってみてください。 鈴木理策 《日本橋室町・東を望む》2025年 東京の写真は東京生まれの人が撮ったものが面白い、と学生の頃に聞いたことがある。変わってしまった風景に撮影者が思い出を投影するからだろうか。他所で生まれた人よりもシャッターを押す理由が多くあるということなのか。   写真の作業を「撮影」と「撮影の後で撮った写真を見ること」に分けて考えてみる。出来上がった写真を見る時、そこに撮った理由が表れていると、撮影者の思い出や感情を想像し、気持ちを重ねることができる。写真は、実際にシャッターを押した時に生まれるのではなく、もっと遡った時間、撮影者の過去の経験や記憶から生まれる場合も多い。複層的な時間をそなえていることは写真の魅力のひとつだと思う。   では撮られた写真からは何が生まれるか? そこから始めることはできないかと考えた。対象とカメラの距離が写真の種類を決定することは経験上心得ている。だが手法が導く効果の道すじから離れて、東京を撮影してみたいと考えた。 豊嶋康子 〈Backshift 2025〉   東京ビエンナーレ2025の開催エリアには、過去に私が個展をした場所が複数含まれている。「犯人は現場に戻る」という俗説に沿うかのような、あるいは帰巣本能に促されるような気持ちで、しばらく行くことがなかったその場所を訪ねてみる。   かつて短期間だったが自分の作品を置いた記憶は鮮明で、まだその時のストレスは続いている。当時は作品を展示する空間になるべく、壁を塗り、照明に苦心した小さな経験の場だったが、今は建物や土地という不動産としての別の相がみえる。いつその場と関わったかということ、そして今回もその場を見にいったということ。この空間に個人的に関わる2点の事実を、時間軸を通して文章のように結びつけるために撮影という方法を選んだ。   建物は35年前と変わらずにある場合もあれば、すでに取り壊されて駐車場になっている場合もある。共通していたのは、当時の関係者は現在その住所にはいないということである。 .accordion { margin: 0.5em 0; } .accordion__summary { background: #f1f1f1; /* アコーディオンの見出しの背景色 */ font-weight: bold; position: relative; display: block; cursor: pointer; padding: 10px 38px 10px 10px; } .accordion__summary::after { content: "+"; font-size: 1.4em; /* 記号のサイズ */ position: absolute; right: 10px; top: 50%; transform: translateY(-50%); } .accordion input:checked ~ .accordion__summary::after { content: "−"; } .accordion input { display: none; } .accordion__detail { display: none; background: #fff; padding: 4px 10px; margin: 10px 0; } .accordion input:checked ~ .accordion__detail { display: block; } .accordion__text { margin: 0; }
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / エトワール海渡リビング館
  • 展示

スキマプロジェクト/日本橋室町・本町

都市の構造を物理的、観念的な「スキマ」からとらえ、ビルの間のわずかな隙間(すきま)を作品発表の空間や作品そのものとして活用する試み。1999年に中村政人とコマンドNが実施した伝説的なプロジェクトで、今回は路地裏の鉢植えの隙間を縫うように、アーティスト9組の彫刻作品が鉢植えに「擬態」しながら、まちのスキマ空間を豊かに彩ります。   協賛:三井不動産株式会社     ミルク倉庫ザココナッツ《萬葉草奔》2025年(コンセプチュアルイメージ[CG])
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 日本橋室町・本町の路地裏

  • サウンドウォーク

鈴木昭男:「点 音(おとだて)」in 東京ビエンナーレ 2025

日本におけるサウンド・アートの先駆的な活動者として知られる鈴木昭男は、1960年代より、音と場の関わり方を探求する姿勢によって、「自修イベント」やパフォーマンス、インスタレーションなどを国内外で展開してきました。今回は、鈴木の幅広い活動の中でも特に「聴く」ことにフォーカスした代表的なプロジェクト「点 音(o to da te)」を、都内 6か所で実施します。   「点 音」は、茶の湯の野点(屋外で行う茶会)のように、参加者が定められた場所(ポイント)で風景を感じながら耳を澄まして感覚を開くプロジェクトです。それぞれのポイントは、鈴木が自らまちなかを探索して、ユニークな環境音や反響音が聴ける場所を探し出したものです。   こうして選ばれたポイントには、佇みを誘う足跡の形と、聴くことを即す耳の形からなるマークが敷設されています。歴史ある寺院の境内にある老樹に向き合うものや、美術館やギャラリーの多い賑やかな通りの周辺など、参加者はマップをもとにそれらのポイントを訪ねます。ひとり静かにマークの上に立つと、聴覚意識がスイッチオンし、その時々の巷の音に耳を澄ます体験ができます。そこでは私たち誰もが「聴く側にも、作曲者にもなれる」、そうした能動性のある時間を過ごすことになるでしょう。   特別助成:公益財団法人石橋財団
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前 ② 不忍池辯天堂 ③ 松坂屋上野店周辺 ④ 末広町駅周辺 ⑤エトワール海渡リビング館周辺 ⑥ 京橋彩区(アーティゾン美術館/TODA BUILDING)周辺

神田・秋葉原エリア

  • 展示

黒川岳:石を聴く

黒川岳は、物体や環境と身体との関係に着目しながら、彫刻やパフォーマンス・音楽などを制作するアーティストです。   今回展示される《石を聴く》は、一見すると大きな石塊に見える作品です。そこには私たちの頭が入るくらいのサイズの穴があります。そっと頭を入れてみると、風の音、周囲の声や音など、環境が奏でる音が響いています。それは作品の置かれた場所や状況によっても変わってくるでしょう。   今回は、寺院の境内と街中の店舗跡という、性格の異なる場に本作が設置されます。また、寛永寺 開山堂(両大師)の庭園内にある寝釈迦石(ねじゃかせき)の「穴」(既にあったものを作家が見つけた)でも、同様に頭を入れて音を聴くことができます。   *本作品は複数会場で展示されます。詳しくは「会場」「日程」欄をご覧ください。 *会期中には黒川によるワークショップ「街のかたたたき」も開催予定。   特別協力:東叡山寛永寺 協力:東京藝術大学、神谷氷店
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前 ② 東叡山 寛永寺 開山堂両大師 ③ 神谷氷店
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秋山珠里:看板建築プロジェクト

秋山珠里は蜜蝋を主材料とし、その歴史・文化・哲学的背景にふれながら、絵画と彫刻を横断する作品を制作しています。今回は、モルタル装飾が印象的な看板建築「角地梱包」にて、場の歴史に呼応する展示に挑みます。   関東大震災後の東京に現れたバラック建築に、当時の芸術家・村山知義はアヴァンギャルド装飾という芸術の場を見いだしました。また復興期の木造建築には、建物正面を銅板、モルタル、タイルなどの不燃材料で覆い、多様に装飾したものが現れました。後年、建築史家の藤森照信が「看板建築」と名付けたこれらの建物は、バラックのおおらかな装飾性と媒体性を受け継ぐようでもあります。   その後、東京は戦争で再び焼け野原になり、地価高騰を経て、いまや建築物は土地の「うわもの」とされるに至ります。一方で建物内に目を向ければ、日本建築史の中では、芸術は仮設的な屏風や障壁画などから、床の間という「領地」を獲得しています。   「仮設・常設・基礎」。秋山は今回、この流動的または創造的な関係性について、古くから表面性や仮設性の象徴である蜜蝋を用いて表現します。会場は現存する貴重な看板建築であると同時に、かつて梱包業という「出発準備」や「ここにいるがすでに出発している」という曖昧な境界を担ってきた場でもあります。   協力:角地梱包
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 角地梱包
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テントハウス・アートコレクティブ & オーブンネットワーク:その家は見た目より広い

テントハウス・アートコレクティブは、オスロを拠点に2009年から活動するアーティスト集団です。コミュニティとの関わり、共同性、包摂性を焦点に、プロセス重視の実践を重ねています。また、かれらが展開するオーブン・ネットワークは北欧と東南アジアのコレクティブをつなぎ、共に学び・考え、長期的な関わりを育むことを目指しています。   今回、かれらは会期中に神田の築100年近い看板建築・海老原商店を拠点とし、建物の歴史に着想を得たプロジェクトを展開します。「トランスローカル」の概念のもと、参加メンバーと地域コミュニティが関わり合いながら新たな場をつくり、各人の固定概念を揺さぶりつつ、現在の課題を変容させていきます。プロジェクトは以下の要素で構成されます。   RRR OFFICE: Research(調査)、Record(記録)、Report(報告)を行う仮設のオフィス的空間。   STIM – Kizuna: 歩くことや身体表現、体験的リサーチを通して形成される、場に応答するパフォーマンス(パフォーマーも募集)。   各種アクティベーション: ワークショップや議論型プログラムなど。   これらを通じて、コレクティブと地域コミュニティの知識や経験をつなぎ合わせ、過去の伝統を尊重しつつ、未来を変えていくための動きの場を生み出すことを目指します。   後援:ノルウェー大使館 助成:OCA, Globus Forward 協力:海老原商店
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 海老原商店

  • サウンドウォーク

鈴木昭男:「点 音(おとだて)」in 東京ビエンナーレ 2025

日本におけるサウンド・アートの先駆的な活動者として知られる鈴木昭男は、1960年代より、音と場の関わり方を探求する姿勢によって、「自修イベント」やパフォーマンス、インスタレーションなどを国内外で展開してきました。今回は、鈴木の幅広い活動の中でも特に「聴く」ことにフォーカスした代表的なプロジェクト「点 音(o to da te)」を、都内 6か所で実施します。   「点 音」は、茶の湯の野点(屋外で行う茶会)のように、参加者が定められた場所(ポイント)で風景を感じながら耳を澄まして感覚を開くプロジェクトです。それぞれのポイントは、鈴木が自らまちなかを探索して、ユニークな環境音や反響音が聴ける場所を探し出したものです。   こうして選ばれたポイントには、佇みを誘う足跡の形と、聴くことを即す耳の形からなるマークが敷設されています。歴史ある寺院の境内にある老樹に向き合うものや、美術館やギャラリーの多い賑やかな通りの周辺など、参加者はマップをもとにそれらのポイントを訪ねます。ひとり静かにマークの上に立つと、聴覚意識がスイッチオンし、その時々の巷の音に耳を澄ます体験ができます。そこでは私たち誰もが「聴く側にも、作曲者にもなれる」、そうした能動性のある時間を過ごすことになるでしょう。   特別助成:公益財団法人石橋財団
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前 ② 不忍池辯天堂 ③ 松坂屋上野店周辺 ④ 末広町駅周辺 ⑤エトワール海渡リビング館周辺 ⑥ 京橋彩区(アーティゾン美術館/TODA BUILDING)周辺

水道橋エリア

  • 展示

ホガリー:Re-sortir/リ・ソルティール

「東京ドームシティ アートプロジェクト」は、東京ドームシティからアートの魅力を発信するプロジェクトとして、 東京ドーム、東京藝術大学、東京藝術大学芸術創造機構の三者によって2022年からスタートした試みです。   複合施設「ミーツポート」と東京ドームホテル間の水景エリアでは、2024年からHogalee(ホガリー)のウォールアートが出現しています。これは東京ドームシティが実施しているランドスケープリニューアル計画の一環で、アートを活用した空間創出として実現したものです。   水辺の壁面に現れた巨大な3人の女性像は、記念撮影の瞬間のような夕日や、南国のひとときを想起させるウォールアートであり、同時に、支持体となる階段壁が斜めに続く先へ拡がるようなインスタレーションでもあります。さらに鑑賞者との関係で言えば、目的地へと向かう通行人たちを、あえて脇道を選ぶ鑑賞者になるよう誘う、何度も訪れて滞在できるランドマークアートでもあるのです。   *この展示は東京ドームシティからアートの魅力を発信することを目指し、 東京ドーム、東京藝術大学、東京藝術大学芸術創造機構の三者が2022年からスタートした「東京ドームシティ アートプロジェクト」の一環となります。 東京ドームシティ アートプロジェクト   事業パートナー:株式会社東京ドーム
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 東京ドームシティ
  • 展示

村山悟郎

村山悟郎は絵画を学び、生命システムや科学哲学を理論的背景として、人間の制作行為(ポイエーシス)の時間性や創発性を探求しています。作品では自己組織的なプロセスやパターンが、絵画やドローイングを通して表現されます。近年は科学者と協働し、AIのパターン認識/生成や、人間の AIに対する感性的理解を探るなど、表現の幅を拡げています。   今回は東京ドームシティのセントラルパークにて、芝生広場を囲む長さ100m超の「パークリボンビジョン」を用いた映像作品を発表します(詳細近日公開)。   *この展示は東京ドームシティからアートの魅力を発信することを目指し、 東京ドーム、東京藝術大学、東京藝術大学芸術創造機構の三者が2022年からスタートした「東京ドームシティ アートプロジェクト」の一環となります。 東京ドームシティ アートプロジェクト 事業パートナー:株式会社東京ドーム
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 東京ドームシティ

八重洲・京橋エリア

  • 展示

与那覇 俊

1979年沖縄県生まれの与那覇は、茨城大学理学部在学中に民族音楽のフォルクローレに熱中し、大学を1年休学して南米中部ボリビアでプロの音楽家と交流する機会を得ました。帰国後、精神を患いますが、大学を卒業して教員資格を取得、沖縄へ帰郷します。2013年からは知人の作品に影響され、本格的に絵画を描き始めました。周囲の勧めで公募展に応募するようになり、やがて一年365日、毎日描き続けて現在のスタイルを確立しました。   今回は、東京の玄関口である東京駅にて、八重洲口北口の大丸東京店 入り口前の床面に、大判出力した作品を展開します(詳細近日公開)。   協賛:大丸松坂屋百貨店
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 東京駅八重洲北口 大丸東京店前
  • サウンドウォーク

鈴木昭男:「点 音(おとだて)」in 東京ビエンナーレ 2025

日本におけるサウンド・アートの先駆的な活動者として知られる鈴木昭男は、1960年代より、音と場の関わり方を探求する姿勢によって、「自修イベント」やパフォーマンス、インスタレーションなどを国内外で展開してきました。今回は、鈴木の幅広い活動の中でも特に「聴く」ことにフォーカスした代表的なプロジェクト「点 音(o to da te)」を、都内 6か所で実施します。   「点 音」は、茶の湯の野点(屋外で行う茶会)のように、参加者が定められた場所(ポイント)で風景を感じながら耳を澄まして感覚を開くプロジェクトです。それぞれのポイントは、鈴木が自らまちなかを探索して、ユニークな環境音や反響音が聴ける場所を探し出したものです。   こうして選ばれたポイントには、佇みを誘う足跡の形と、聴くことを即す耳の形からなるマークが敷設されています。歴史ある寺院の境内にある老樹に向き合うものや、美術館やギャラリーの多い賑やかな通りの周辺など、参加者はマップをもとにそれらのポイントを訪ねます。ひとり静かにマークの上に立つと、聴覚意識がスイッチオンし、その時々の巷の音に耳を澄ます体験ができます。そこでは私たち誰もが「聴く側にも、作曲者にもなれる」、そうした能動性のある時間を過ごすことになるでしょう。   特別助成:公益財団法人石橋財団
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / ① 東叡山 寛永寺 根本中堂前 ② 不忍池辯天堂 ③ 松坂屋上野店周辺 ④ 末広町駅周辺 ⑤エトワール海渡リビング館周辺 ⑥ 京橋彩区(アーティゾン美術館/TODA BUILDING)周辺

大手町・丸の内・有楽町エリア

  • 展示
  • 公開制作

佐藤直樹: そこで生えている。

佐藤直樹はグラフィックデザイナーとして活躍し、2013年から絵画制作へ重心を移しました。翌年に制作を始めた木炭画《その後の「そこで生えている。」》は、大判のベニヤ板を横に描きつなぐ形で継続され、様々な場での発表を経て、今では長さ300数十mを超えています。今回は近接する2会場で、その展示と公開制作を行います。佐藤のライフワークと言える作品が、12年間の時の層と共に、高層ビルの並ぶ街のなかで増殖していきます。   会場① 行幸地下ギャラリー 「そこで生えている。2018–2025」(展示) 《その後の「そこで生えている。」》(2014–)のうち、2018年以後に描かれた約208m(ベニヤ板228枚)を並べて展示します。佐藤が2013年に描いた《はじめの「そこで生えている。」》は、神田錦町周辺を歩きながら「では今日見た草木をここに描いてみます」と唐突に始まったといいます。以来12年にわたり続き、発展してきたこの行為について、佐藤は「その読み解きは、見た人に委ねてみたい」としています。   会場② 大手町パークビル 1階エントランス 「そこで生えている。2025–」(公開制作) 《その後の「そこで生えている。」》の369枚目以降を公開制作します。その始まり同様、今回の作画も制作現場の周辺を歩きまわることから始まります。佐藤は「オフィスビル街となる前の大手町一帯には武家屋敷が広がっていたが、それ以前は葦や葺の生い茂る湿地帯だった。そんな風景を幻視するつもりで、周辺から痕跡を見つけ出してみたい」と語ります。なお、行幸地下ギャラリーでの展示(2018–2025年の制作ぶん)より以前にあたる1枚目から133枚目についても、この機会にここで公開しつつ手を加える予定です。   協賛:三菱地所株式会社
【開催予定】2025.10.17 - 12.12 / ① 行幸地下ギャラリー ② 大手町パークビル1階エントランス
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大内 風:分散、上昇、規律、統合

大内風は、柔らかな色調で具象と抽象を行き来するような絵画を描いてきました。その作品は華やかさと儚さを同時に感じさせます。彼は制作を通じて生の本質をとらえようとしながら、言葉では表現しきれない思考や身体の中でうずく感情、とらえることのできない事象を、絵画表現に落とし込もうと試みています。   「上昇と下降、繁栄と衰退、地図に引かれた直線、キャンバスという四角、人体というシステム、普及した概念や言葉、自己否定や安堵の気持ち、自然が表現する緩やかで曲線的な成長。それらはある大きな『力』の中で生まれる、小さな『力』たちなのだろう。だが、こういった言葉は、まるで一種の娯楽のようで、決して根本には辿り着かない」(大内風)   今回、大内は大手町ファーストスクエアの南側壁面をキャンバスにして、10×10mの大型作品を制作します。現地での滞在制作で空間と向き合い、街で生まれる言葉にならない言葉を紡ぐように描かれる世界は、観る人それぞれのなかに共感を生んでいくでしょう。   協賛:三菱地所株式会社 協力:株式会社大手町ファーストスクエア
【開催予定】2025.10.17 - 12.14 / 大手町ファーストスクエア

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